車を購入する際「新車」として契約した車が実は「在庫車」だったと知り、不安になった経験はありませんか?
新車と在庫車はどちらも未登録車として扱われますが、その背景や状態には違いがあります。
購入を検討している方にとって「在庫車であっても問題ないのか?」「新車との違いが具体的に何なのか?」を理解することは、安心して選ぶために欠かせません。
この記事では、新車と在庫車の違いをわかりやすく比較し、双方のメリットやデメリットなどそれぞれの特徴を詳しく解説します。
新車と在庫車を徹底比較!それぞれの特徴とは?
それでは、次に新車と在庫車について、簡単にいくつか比較してみましょう。
販売価格について
これは在庫車の状況や車の販売状況などにもよりますが、新車よりも在庫車の方が価格が低くなる傾向にあるようです。
特に、モデルチェンジ直前の車や保管期限が迫った在庫車は、ディーラーが早期販売を目指して値引き幅を広げることがあります。
他にも、不人気車種の在庫車においては、かなり安くなることも。
一方、新車は基本的に注文内容に基づいて価格が決まるため、値引きの余地は限定的です。
具体例として、在庫車が保管期限ギリギリの場合、10万円以上の値引きが適用されることもあります。
しかし、こうした価格差を得るにはタイミングや交渉力が重要です。
結局のところ、価格差は在庫車が持つ状況次第ですが、総合的な満足度を考えると、購入時には「費用対効果」を慎重に検討することが重要です。
また、場合によっては在庫車の大幅な値引き交渉ができる可能性があるので、これについては後述します。
車の状態の差
新車は、初期不良がない限りは状態良好なのが普通です。
基本的に注文を受けてから製造され、購入者が最初に使用するため、完全な未使用状態が保証されます。
それに比べて、在庫車は保管をしている都合上、人の手が触れられているなど何らかの使用感のある場合が見られるかもしれません。
一方、在庫車にはいくつか注意点があります。在庫車は新品と見なされるものの、保管場所や使用状況によっては微妙な差が出ることがあります。
例えば、詳しくは後述しますが在庫車が展示車として使用されていた場合、多くの来店者が実際に車内に乗り込んだり、操作したりしているため、若干の使用感を感じることがあります。
さらに、在庫車はディーラーやメーカーの屋外スペースで保管されているケースもあります。
この場合、長期間雨風にさらされることもあり、塗装や部品に微細な劣化が生じる可能性があります。
ただし、多くの在庫車には保護フィルムが施されており、大きな問題になることは稀です。
これらのことから、在庫車を購入する際には保管状況や車両の状態を確認することが重要です。
例えば、納車前に傷や汚れがないかをしっかりチェックしたり、展示車である場合は事前に説明を受けるなどの対策を講じると安心です。
しかし、明らかに劣化したり、傷ついている新品の在庫車はまずないでしょう。
カスタマイズのしやすさ
新車と在庫車では、カスタマイズの自由度に大きな差があり、結論として、新車の方が圧倒的にカスタマイズがしやすいです。
その理由は、新車が注文後に製造されるため、購入者の希望に応じてメーカーオプションを自由に選択できるからです。
例えば、シートの素材やナビゲーションシステムの種類、ボディカラーなど、幅広い項目から選べるのが特徴です。
これにより、購入者の好みや生活スタイルに完全に合った車を手に入れることが可能です。
一方、在庫車は既に完成しているため、メーカーオプションを後から追加することはできません。
例えば、希望のカラーや特定の装備が付いていない場合、妥協する必要があります。
在庫車は、既に生産完了した現品限りのものなので、色やオプションなどが元々決められている場合が多く、制約があるということです。
ただし、ディーラーオプションについては、納車前に取り付けることができる場合もあります。
ディーラーオプションとは、フロアマットやドラレコの追加など、メーカーオプションよりも比較的簡単に後付けできる装備です。
そのため、細かい仕様にこだわりたい場合は新車を選び、必要最低限の装備で十分な場合や早めの納車を優先する場合には在庫車が適していると言えるでしょう。
購入できる在庫車の種類
ディーラーで取り扱われる在庫車には、大きく分けて販売向けと展示向けがあります。
販売向けの在庫車は、ディーラーやメーカーが人気のある仕様や色を見込んで生産し、スムーズに販売するために用意された車です。
これらの在庫車は、基本的に未使用で、多くの場合、屋外または保管施設内で保管されています。
特徴として、販売機会を逃さないため、ディーラーが適切に管理していることが挙げられます。
また、短期間で納車可能であるため、急いで車を必要とする方には魅力的な選択肢です。
一方、展示向けの在庫車は、ディーラーのショールームに展示されている車で、展示車として一定期間使用された後、販売に回されることが一般的です。
これら2つの種類を比較すると、販売向けの在庫車は新品に近い状態で購入できる可能性が高いのに対し、展示向けの在庫車は価格交渉がしやすいという利点があります。
新車と在庫車は同じ新車ではないのか?
新車と在庫車は見た目や基本的な状態においては似ていますが、厳密には異なる性質を持っています。
結論から言えば、在庫車は「新車として扱われる」ものの、受注生産された新車とは異なる点がいくつかあります。
その理由は、新車が購入者の注文を受けてからメーカーで製造されるのに対し、在庫車は販売機会を逃さないためにディーラーやメーカーがあらかじめ製造し、保管しておく車だからです。
こうした車は、製造後に一定期間保管されている可能性があるため、まったくの新品とは言い切れない側面があります。
これを踏まえると、新車と在庫車はどちらも「未登録車」ですが、受注生産か既製品かという違いがあるため、厳密には同じものではないといえるでしょう。
ディーラで新車と在庫車はどう見分ける?
ただ、新車と在庫車と言っても、素人が見分けるのは難しい場合があります。そこで、その見分け方のポイントをいくつか見ていきましょう。
特定のグレードや仕様の車を勧められる
前述のように、ディーラー側は在庫車についてはさっさと売り切ってしまいたいのが本音です。
そのため、ディーラーが特定の車種を勧めてくる場合は、それは在庫車の可能性が高いと言えます。
在庫車を販売することで在庫を減らし、ディーラーとしての負担を軽減したいという理由があるためです。
具体的には、商談の際にディーラーが「このグレードは非常に人気があります」「すぐに納車可能です」といった説明を繰り返す場合、その車が在庫車である可能性が高いです。
特に、人気のあるカラーや装備が標準で揃った仕様を勧められる場合、あらかじめ在庫として保管されていた車の可能性があります。
これらの車は、購入者に合わせて一から製造される新車とは異なり、販売促進を目的として用意された在庫車である場合が多いのです。
さらに、納期について「すぐにお渡しできます」と強調される場合も注意が必要です。
在庫車の場合は既に完成しているため、納期が短縮されるのが特徴で、このような提案があった場合、在庫車かどうか確認することをおすすめします。
シンプルに在庫車かどうか聞く
在庫車かどうかを確認する最も確実な方法は、担当のセールスマンに直接質問することです。
良心的なディーラーならばきちんと説明するので、シンプルではありますがこの方法は非常に効果的です。
具体的には、次のような質問をすると良いでしょう。
- この車は在庫車ですか、それとも注文生産になりますか?
- この車の製造時期はいつですか?
- どこで保管されていた車ですか?
これらの質問をすることで、車が在庫車かどうかをはっきりさせることができます。
在庫車である場合、担当者は正直に保管状況や展示車であったかどうかを説明することが一般的です。
また、展示車として使用されていた場合は、その旨を伝えられることが多いです。
ディーラーとしても在庫車を無理に隠すメリットは少ないため、率直に質問することで不安を解消することができます。
さらに、聞くことで説明をきちんとしてくれる「まともなディーラーかどうか」を見極める方法でもあるので、これからのお付き合いを考えた場合、説明を求めるのも決して悪くありません。
車体番号と製造年月日もチェック
少し面倒ですが、車体番号と製造年月日を確認する方法もあります。
この場合、現在と製造年月日の誤差が大きい、具体的には約半年以上の場合、在庫車の可能性が高いです。
ちなみに、完成検査証という登録の手間を減らせる新車独自の制度がありますが、この有効期間が9か月なので、基本的には、新車在庫車で製造年月日から9か月以上のものはほとんどないでしょう。
新車ではなく在庫車を購入するメリットデメリット
メリット:新車よりも納期が早いこと
何回か繰り返し述べていますが、在庫車は新車よりも納期がスピーディーなのがメリットです。
昨今では、人気車かつ生産数も少ない場合など、新車納車が半年あるいは1年以上になることも珍しくありません。
そのため、購入したら早く車に乗りたい場合は、在庫車に軍配が上がります。
在庫車は既に完成してディーラーやメーカーの保管施設にストックされているためです。
新車の場合、注文後に製造されるプロセスを経るため、通常2~3ヶ月以上の時間がかかります。
一方、在庫車は手続きが完了次第すぐに納車可能で、一般的には1~3週間以内に手元に届くことが多いです。
例えば、車検の切れた車の代替や引っ越しに合わせて車が必要な場合、在庫車を選ぶことでスムーズに対応できるでしょう。
また、急ぎの納車を希望する際に、ディーラーが提案する選択肢に在庫車が含まれることも少なくありません。
ただし、納期の早さを重視する際には、仕様やオプションの選択肢が限られる点を考慮する必要があります。
短期間で車を手に入れたい方にとっては、在庫車は非常に魅力的な選択肢といえるでしょう。
メリット:大幅な値引き交渉が可能な場合もある
在庫車には値引き交渉がしやすいというメリットもあります。この点は、新車では得られにくい大きな利点です。
その背景には、ディーラーが在庫車を早く売却したいという事情があります。
新車では、思い切った値引き交渉はなかなか難しい場合が多いので、これは在庫車特有のメリットかもしれません。
在庫車は保管期間が長くなるとコストがかさむため、ディーラーは保管期限内に販売することを目指しています。
特にモデルチェンジ直前や、人気の低いカラーやグレードの車は、値引き幅が大きくなる傾向があります。
例えば、ある車種が展示車として一定期間使用され、その後在庫車として販売される場合、販売促進のために10万円以上の値引きが適用されるケースもあります。
また、ディーラーの在庫処分セールなどのタイミングを狙えば、さらに有利な条件で購入できる可能性もあります。
ただし、値引き交渉を成功させるには、適切なタイミングと準備が重要です。
購入を急がず、複数のディーラーを比較したり、オプションや下取り額のサービスを交渉に含めることで、より満足のいく条件を引き出すことができます。
このように、在庫車は価格面でのメリットが大きいため、コストを抑えたい方にとって有力な選択肢となるでしょう。
デメリット:車の色やグレードは固定される
やはり大きなデメリットの一つは、車の色とグレードを自由に選べないことです。
この制約は、すでに製造済みで保管されている在庫車ならではの特徴です。
在庫車は、多くの場合、ディーラーやメーカーが販売の見込みを立てて準備した車両です。
そのため、人気の高いカラーや仕様が中心となる一方で、購入者が希望する特定のカラーやグレードが在庫にないこともあります。
例えば「特別な内装仕様」や「珍しいボディカラー」を求める場合、在庫車では対応が難しいことがあります。
また、カスタマイズの自由度が低い点も課題です。
新車であれば、メーカーオプションを追加して自分好みの車に仕上げることができますが、在庫車は既に完成品のため、希望するオプションが装備されていないことがあります。
このため「細かい仕様にこだわりたい」という方には在庫車は適さないかもしれません。
在庫車を検討する際には、自分の希望条件と在庫車の仕様を比較し、妥協できるポイントを明確にしておくことが重要です。
デメリット:即納は出来ないので注意
在庫車は納期が短いという利点がありますが、即日受け取れるわけではない点には注意が必要です。
一般的に、在庫車の納車までには上述の通り、1~3週間程度の期間が必要となります。
その理由は、在庫車も新車と同様に登録手続きが必要だからです。
具体的には、ナンバープレートの取得や車庫証明の申請、整備チェックなどの工程を経る必要があります。
これらの手続きには一定の時間がかかるため「すぐに乗れる車が欲しい」と考える方にとっては、思ったほど早く受け取れない場合があります。
例えば「週末までに車が必要」という急な事情がある場合、在庫車でも間に合わない可能性があります。
この点を理解しておくことで、購入後のスケジュールをより現実的に計画することができます。
即日受取りが難しいことを踏まえ、急ぎの場合には事前に納車時期をディーラーに確認することが大切です。
また、急ぎで車が必要な場合には、試乗車や新古車といった他の選択肢も検討すると良いでしょう。
デメリット:潔癖症の方は気を付ける
在庫車でも展示車は、ディーラーのショールームで展示され、多くの人が実際に触れる機会があった車両です。
そのため、他の在庫車と比べて若干の使用感が残る可能性があります。
例えば、シートの座り心地が変わっていたり、スイッチやレバーが何度も操作された痕跡がある場合があります。
また、来店者が車内を試す際に意図せず乱暴に扱われていることもあり、これが機能面や見た目に影響することも考えられます。
さらに、室内に微細な汚れが付着している場合や、特定の部品に経年変化が見られることもあります。
こうしたリスクを避けるためには、購入前に展示車であったかどうかをディーラーに確認し、状態を詳細にチェックすることが重要です。
また、気になる箇所があれば、納車前に清掃や修繕を依頼することを忘れないようにしましょう。
在庫車の値引き交渉をする際のコツとは?
在庫車を値引きしてもらいたいけれど、どうしたらよいか分からない人のために、値引き交渉をするためのポイントをまとめてみました。
これらに加えてトーク力があれば、なおよしです。
新車が欲しい前提で交渉する
最初に新車購入を希望していることを伝えます。
これに反して、最初から在庫車購入を伝えると、足元を見られる可能性があり、値引き交渉の余地がなくなることもあるでしょう。
在庫車は既に保管されている車であるため、販売を急ぐディーラー側が値引きに積極的になることがあります。
しかし、購入者が最初から在庫車を狙っているとわかると、ディーラー側の交渉余地が小さくなり、結果的に大幅な値引きを引き出しにくくなる場合があります。
例えば、商談の初期段階では「理想の仕様で新車を購入したい」と伝え、見積もりを依頼するのが良いでしょう。
その後、ディーラーが在庫車を提案してきた場合に「納期や価格が条件に合えば在庫車でも構わない」というスタンスを示すことで、ディーラーが値引きを含む条件改善を提案してくる可能性が高まります。
要するに、値引き交渉をするのならば、買う立場のこちら側が初めから折れるのでなく、販売側から折れさせるのが重要とも言えるでしょう。
オプション値引きも交渉する
どうしてもディーラーが値引きに応じないこともあるでしょう。
と言うのも、ディーラー側は在庫車の値引き幅があらかじめ決められているケースがあるからです。
その場合は、他の方法として、オプション上乗せができないかなどの交渉をすることが考えられます。
要するに、車体の値引きはできなくとも、オプション代を値引きする作戦に出るということですね。
このような状況では、値引き交渉だけに固執せず、フロアマット、ドラレコ、ETC車載器といったディーラーオプションの追加や、メンテナンスパックの提供などを交渉材料にすることが効果的です。
「値引きが難しいのであれば、このオプションを追加してもらえるなら契約を考えます」と伝えることで、ディーラー側も譲歩しやすくなります。
特に、ディーラーオプションは在庫車でも柔軟に対応できるため、交渉の余地が大きいポイントです。
このように、値引きに加えてオプションの充実を求める姿勢を持つことで、最終的によりお得な条件で在庫車を購入できる可能性が高まります。
新車が在庫車だったが違いは何?まとめ
在庫車の購入は、納期の短さや価格の交渉しやすさといったメリットがある一方で、仕様や状態に関するデメリットも存在します。
在庫車はディーラーやメーカーが事前に準備した完成車であるため、自由なカスタマイズが難しく、カラーやグレードが選べない場合があります。
また、特に展示車は多くの人が触れている可能性があるため、状態を確認することが重要です。
一方で、在庫車の購入時には値引き交渉の余地があり、価格だけでなくディーラーオプションの追加などを条件に含めることで、より満足度の高い購入が期待できます。
在庫車が野ざらしで保管されているという噂は部分的に事実ですが、保護フィルムや防錆処理が施されており、大きな品質問題はありません。
ただし、購入前に保管状況や車両の状態を確認し、必要に応じて交渉材料とするのがおすすめです。
これらを踏まえ、自分のニーズや状況に合わせて在庫車のメリットを最大限に活用し、賢く選択することが大切です。