高級車と言えば黒色のイメージだと言うように、黒の車体カラーは人気色の一つです。
しかし、その一方で、洗車傷が「つきやすい」と感じたことや聞いたことがある方も多いでしょう。
では、なぜ黒色の車は傷がつきやすくなっているのでしょうか?
この記事では、黒い車に洗車傷がつきやすい(または目立ちやすい)理由を詳しく解説するとともに、それを防ぐための具体的な対策について徹底的にご紹介します。
実は洗車傷は黒色の車が「目立つ」だけ!
黒い車は洗車傷が付きやすいと思われがちですが、実際には他の色の車と比べて特別に傷が付きやすいわけではありません。
黒いから洗車傷が付きやすいわけでなく、厳密に言うならば黒い車はそのボディカラーが傷を目立たせてしまう特性があるということです。
その理由は、黒色の塗装が光を吸収しやすく、表面の微細なキズが白やグレーの塗装に比べて際立ちやすいからです。
つまり、洗車傷そのものが増えるわけではなく、あくまで「目立つ」ということです。
日中光が当たる場所などでは、白い線が見えたりなど特に目立つでしょう。
車以外でも、黒い服ではほこりが付いたら目立つのと同様の理屈と言えます。
このため「黒い車だから気をつけなければ」と思うよりも、正しい洗車方法を実践することで、どの車も同じようにきれいに保つことが可能です。
また、黒い車の美しい光沢はその色合いがはっきりしている分、手入れ次第で際立つことも魅力の一つです。
だからこそ、傷を目立たなくするためのケアが重要となります。
予防は十分に可能なので諦めないこと
洗車傷は黒い車に限った問題ではありませんが、前述の通り、黒い車はその特性から傷が目立ちやすくなります。
しかし、適切な予防策を講じることで、そのリスクを大幅に軽減することができます。
当然、車の知識がそんなになくても洗車傷の予防は十分可能です。
意識しておきたいのは、車のボディに付着した汚れを放置しないことです。
汚れが長時間付着した状態では、傷の原因となる硬化した異物が発生する可能性があります。
そのため、傷が目立ちやすいからと言って、黒色の車を購入することを早々にあきらめるのはもったいないと言えるでしょう。
洗車傷を最小限に!車を守る洗車のポイントとは?
次に、洗車時にできるだけ傷を付けないため、黒い車の洗車ポイントを見ていきましょう。
全体的に、原則は丁寧に作業することであり、優しく洗車することが重要となります。
事前に砂利や鉄粉を水で落とす
まずは洗車する前に、傷の原因となる砂利や鉄粉などを水で落としておきましょう。
この工程を省くと、洗車中にこれらの硬い異物が塗装面をこすり、傷を生む原因となります。
この場合、傷防止のためにふき取りではなく水圧で落とすのが基本で、ホースや高圧洗浄機を使用すると手早くできます。
ただ、高圧洗浄機などを至近距離で当ててしまうと、砂利の飛び散りあるいは水圧自体により傷が付いてしまうので、一定の距離を保ってから使用することを心がけておいた方がよいでしょう。
適切な距離として、ノズルを車体から30~50cm程度離すことを心がけましょう。
また、ノズルの角度を調整し、広がりのあるスプレーパターンを選ぶことで、水圧が一点に集中しないようにすることもポイントです。
さらに、目視で鉄粉が多く付着している場合には、鉄粉除去専用のスプレーを使用するのも効果的です。
この事前処理を行うことで、洗車中の摩擦による傷を大幅に防ぐことができます。
汚れを事前に落としておくことで、洗車の際にスポンジやクロスがスムーズに動き、余計な力を入れずに済むため、結果的に黒い車の美しい仕上がりが実現します。
時間を少しでも確保して、この準備段階を丁寧に行うことをおすすめします。
天井から下にかけて洗う
黒い車に限らず、洗車は天井から下へ向かって行うのが原則です。
具体的には、まず天井から洗い次に窓ガラス、ボンネットから下へという流れです。
この順番を守ることで、砂や汚れが下へ流れていき、汚れが再付着するリスクを減らせます。
車は下の方に汚れが付きやすいので、下から洗ってしまうと石などが付着したしたまま上部を洗うことになってしまい、傷が付きやすくなるため注意が必要となります。
さらに、洗車中は使用するスポンジやクロスをこまめにすすぐことが重要です。
一度使用したスポンジに汚れや砂粒が付着したままでは、それが原因で細かな傷ができることがあります。
順序よく洗うことと道具の清潔を保つことが、黒い車を美しく保つ秘訣です。
頑固な汚れを落とすならカーシャンプーを使う
洗車時は、水洗いのみではなく、カーシャンプーを使いましょう。
カーシャンプーは、塗装面に優しい成分で作られているため、汚れを落としやすくする効果があるのはもちろん、傷の原因となるスポンジの車体に対する摩擦を減少させることができます。
水だけで汚れを落とそうとすると、汚れを擦り取る形になり、洗車傷の原因となることが多いです。
カーシャンプーを使う際には、バケツに適量を溶かし、泡立ててから使用します。
この泡が、汚れを包み込みつつ表面を滑らかにする役割を果たし、スポンジが塗装面に直接触れる摩擦を減らします。
また、頑固な汚れがある場合でも、強く擦るのではなく、シャンプーを十分に塗布して少し時間を置くことで、汚れが浮き上がりやすくなります。
市販されているカーシャンプーには様々な種類があり、撥水効果があるものや油汚れを落とすものなど、用途に応じた製品を選ぶとさらに効果的です。
頑固な汚れを適切に落とすことは、洗車後の仕上がりを左右する大事なポイントです。
ちなみに、カーシャンプーの代用としてマジックリンを利用する方もいますが、おすすめ出来ません。
柔らかいスポンジを使って洗う
基本中の基本ですが、洗車は柔らかいスポンジで洗いましょう。
黒い車は特に細かい傷が目立ちやすいため、新品でも普通の平らなスポンジや硬い素材のスポンジやブラシは避けましょう。
選ぶべきスポンジは、表面に柔軟性があり、傷を付けにくい素材でできているものです。
特に「マイクロファイバー素材」を使ったスポンジやクロスは、汚れを吸着しながら塗装面を優しくケアする効果が期待できます。
洗うときはスポンジで擦ると言うよりは、力を入れずに撫でるような感じで洗うのが良いでしょう。
また、1台の車を洗う際に複数のスポンジを使い分ける方法も効果的です。
例えば、天井やボンネット用とタイヤや下部用を分けることで、下部の汚れが車体上部に移るのを防ぐことができます。
柔らかいスポンジを正しく使用すれば、洗車後に傷を最小限に抑え、美しい仕上がりを維持することができます。
黒い車の光沢を守るためにも、ぜひスポンジ選びにこだわってみてください。
ウエスやクロスを使って拭き上げる
カーシャンプーで洗い、すすいだ後は拭き上げる作業を忘れずにいたいところです。
洗車後の拭き上げには、ウエスやクロスを使うのがおすすめで、間違った素材のもので拭き上げると、せっかくの洗車で傷をつけてしまう可能性があります。
普通のクロスなどでは、目が粗いために傷の原因となるので拭き上げには、柔らかく吸水性の高いマイクロファイバークロスがおすすめです。
この素材は塗装面を優しく拭き取れるため、傷を防ぎながら水分を効果的に取り除くことができます。
一方、一般的なタオルや古いウエスは、表面が粗く塗装を傷つけるリスクがあるため避けましょう。
拭き上げの際には、水滴を押し拭きするのではなく、軽く滑らせるようにするのがポイントです。
また、クロスが濡れた状態のまま使い続けると、汚れを広げたり傷を作ったりする原因になるため、複数のクロスを準備し、頻繁に交換しながら作業を進めましょう。
自然乾燥に任せてしまうと、水垢やシミの原因となるので、黒の車だとなおさら目立ってしまいます。
丁寧な拭き上げは、洗車後の仕上がりを左右する大事なステップです。
この工程をしっかり行うことで、黒い車特有の美しい輝きを保つことができます。
おすすめは手洗い洗車
自動洗車機は便利ですが、ブラシやローラーの硬さや動きによって、細かな傷がつきやすくなることがあります。
そこで、傷を付けたくないのならば、手洗い洗車がおすすめです。
洗車機を利用する場合と異なり、手洗い洗車は目視でチェックしながら洗車できるので、傷が付きやすい砂利などを前もって取り除くことが可能となります。
そして、手洗い洗車では、汚れの程度に応じて力加減を調整できるのが大きなメリットです。
例えば、ドアの隙間や窓枠、ミラー周りの汚れをしっかりと落とすことで、洗車後の仕上がりが大きく変わります。
そのため、一気に洗ってしまう洗車機より、丁寧に洗車できる手洗いの方が一般的には傷を付けにくいことでしょう。
もちろん、手洗いの方が時間はかかりますが、使用するスポンジやカーシャンプーなどまで自分で選べるため、塗装面に優しいアイテムを使うことで、洗車傷を最小限に抑えられます。
洗車傷を黒い車で目立たなくするおすすめ対策
車にコーティング施工をする
洗車をいくら手洗いでするにしても、傷が付くリスクをゼロにすることはできません。
ほんの小さな傷は、洗車時にどうしてもできやすいのです。
そこで、傷を目立たなくさせるコーティング施工がおすすめです。
これは車の塗装を保護するものなので、傷を付けにくくすることができます。
コーティングは車の塗装面を透明な保護膜で覆うことで、洗車時の摩擦や汚れの付着を防ぎ、細かな傷を目立たなくする効果があります。
コーティングにはガラス系、ポリマー系、セラミック系などさまざまな種類がありますが、黒い車には特に耐久性の高いガラス系やセラミック系コーティングが向いています。
これらは塗装面に強固な被膜を形成し、洗車や日常的な汚れによるダメージを軽減するのが特徴です。
さらに、コーティングを施すことで黒い車特有の深みのある光沢が一層引き立ちます。
この美しい仕上がりは、日頃のメンテナンスがしやすくなるメリットもあります。
例えば、汚れが付着しても水洗いで簡単に落ちるため、洗車の頻度や手間を減らすことが可能です。
また、コーティングは専門業者に依頼することで、より効果的で持続性の高い仕上がりが期待できます。
一度施工を行うと数年間効果が持続するタイプもあるため、長期的に考えるとコストパフォーマンスも良好です。
注意:コーティングしても傷はできる
コーティングは黒い車の洗車傷を防ぐ有効な手段ですが、完全に傷を防ぐことはできない点に注意が必要です。
たとえば、洗車時に砂利や硬い異物が付着したスポンジを使用すると、コーティングの層に直接傷がついてしまう可能性があります。
さらに、コーティングは紫外線や酸性雨などの影響で徐々に劣化するため、時間が経つと保護性能が低下してしまいます。
その他、極端な話事故をした時はもちろん、コインなどの金属をある程度の力で当てると傷はしっかり入ってしまいます。
このため、コーティングを施した後でも、正しい洗車方法やメンテナンスを怠らないことが大切です。
コーティングの効果を長持ちさせるためには、定期的なトップコートの追加や、専用の洗車用品を使用することを心がけましょう。
また、どんなに優れたコーティングでも100%の防御は難しいため、日常的に注意して扱うことが必要です。
例えば、車の駐車場所を選ぶ際には、砂埃が舞いやすい場所や木の下を避けるといった工夫も効果的です。
コーティングしても小さな傷は別として、100%傷を防ぐことはできないため、コーティングすれば常時安全というわけではないことに注意が必要です。
コーティングを長持ちさせる為のメンテナンス
上述の通り、コーティングの効果を長持ちさせるためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。
せっかく施したコーティングでも、汚れや油膜、イオンデポジット(シミの一種)を放置すると、効果が弱まり、見た目にも悪影響を与えます。
まず、定期的な洗車が基本です。コーティング車専用のカーシャンプーを使用し、汚れを優しく落とすよう心がけましょう。
特に頑固な汚れは、長時間放置するとコーティング層にダメージを与えるため、早めに取り除くことが重要です。
次に、油膜の除去もポイントです。ガラス面に発生する油膜は視界を悪くするだけでなく、洗車時に流れた油分がコーティングに影響を与える場合があります。
専用の油膜除去剤を使うことで、効果的に取り除くことができます。さらに、イオンデポジットと呼ばれる水滴跡のシミも注意が必要です。
これらは雨水や洗車後の水滴が蒸発する際に残るミネラル分が原因で発生します。
専用のイオンデポジット除去剤やクリーナーを使用し、塗装面にダメージを与えないよう丁寧に除去しましょう。
ちなみに、コーティングについては、自分で施工するとかなり大変なので、自信がない場合は専門業者にお任せすることをおすすめします。
もちろん、コーティングの種類にもよりますが、かなり高額になることもあるので予算も考えておくといいでしょう。
黒い車の傷を消す「車用傷消し」とは?
カー用品店などよく見る車用傷消しというものがありますが、これは何なのでしょうか?
車用傷消しは、塗装面の浅い傷を目立たなくしたり、場合によっては完全に消したりするための製品で、多くの種類が市販されています。
また、車用傷消しと言ってもいろいろなタイプがあり、単に傷を隠すためのタッチペンから磨くタイプなものまで様々な種類があります。
と言っても、そのどれもが深い傷やへこみを完全に消したりは基本的にできないので、そこは気をつけたいところです。
よって、車用傷消しとは簡単な補修レベルのアイテムと考えた方がよいでしょう。
ただし、傷消しを使用する際には、塗装面の汚れをきれいに取り除き、乾燥した状態で行うことが重要です。
汚れを残したままだと、逆に新たな傷を生む可能性があるため注意してください。
洗車傷におすすめは「ワックスタイプ」「コンパウンドタイプ」
洗車傷に対する車用傷消しのおすすめな種類は、ワックスタイプとコンパウンドタイプのものです。
ワックスタイプは、塗布すれば傷を目立たなくさせるタイプのものであり、洗車時のほんの細かい傷を目立たなくさせるのに向いています。
塗装面に塗り込むだけで手軽に使用できるため、初心者にも扱いやすいのが特徴で、防水性や防汚性も向上するため、洗車後の仕上げとしても効果的です。
対してコンパウンドタイプは、研磨剤が含まれており磨いて傷を消すという感じのものであり、洗車傷だけではなく落ちにくいシミまで除去することも可能です。
目立つ傷がある場合には、このタイプを選ぶと良いでしょう。また、ワックスタイプの中にはこのコンパウンドを含んだタイプの商品もあります。
ただし、研磨成分が強いものを使いすぎると塗装面を傷める恐れがあるため、使用時には説明書をよく読み、慎重に扱うことが重要です。
お試しで利用したい場合クロス・シールタイプ
上記のタイプ、特にコンパウンドタイプは磨くという繊細な作業が必要なので、慣れていないと不自然な光沢ができたり、逆に車に傷を付けてしまうことなりかねません。
そのため、まずとりあえず試してみたい場合は、手軽に拭けるクロスタイプ、または車体と同色の黒い傷隠しシールタイプを利用するのがよいでしょう。
クロスタイプは、傷消し効果のある成分が染み込んだクロスを使い、塗装面を拭くだけで効果を発揮します。
軽い擦り傷や浅い洗車傷であれば、この方法だけでかなり目立たなくなることがあります。
また、クロス自体が柔らかい素材でできているため、塗装面を傷つけにくいのもポイントです。
一方、シールタイプは、傷の上から貼ることで、目立たなくさせる簡易的な方法です。
特に細い傷や目立つ場所にある傷を隠すのに適しており、黒い車の深みのある色に近いカラーバリエーションが揃っている製品もあります。
このタイプは、応急処置としても有効で、時間をかけずに傷を隠したいときに便利です。
ただし、クロス・シールタイプはあくまで軽度の傷に対応した製品であり、深い傷や広範囲に及ぶダメージには限界があります。
それでも、まずは気軽に試せる選択肢として、洗車傷対策の第一歩として最適です。
もちろん、ワックスなどと比べて仕上がりの美しさはかないませんが。
コーティング施工している車は対応した商品を選ぶ
ちなみに、上記のようにコーティングしている車に傷消し商品を使用する場合、コーティングに対応しているものを選ぶことが必要となります。
それ以外の商品、特にコンパウンドタイプについては、磨くという作業を要するため、傷を守るコーティングを逆に剥がすことになりやすいので注意が必要です。
ただ、車に詳しくないと、コーティング施工している車に対してどの傷消し商品を選んだらよいかわからないことが多いでしょう。
そういう場合は、費用はかかりますが、専門業者にお願いするのが最も無難と言えます。
洗車傷が黒色の車につきやすい理由まとめ
黒い車はその光沢が美しく魅力的ですが、洗車傷が目立ちやすいため、適切なケアが必要です。
まず、洗車は天井から下に向かって行い、柔らかいスポンジを使用することで傷を防ぎます。
また、洗車前に高圧洗浄機などで砂利や鉄粉を丁寧に落とすことが重要です。
ただし、高圧洗浄機を近距離で使用すると逆に傷をつける恐れがあるため、適切な距離を保ちましょう。
さらに、頑固な汚れにはカーシャンプーを使用し、洗車後は吸水性の高いクロスで優しく拭き上げることで仕上がりを美しく保てます。
洗車傷を目立たなくするためには、コーティングの施工も効果的です。
コーティングは保護膜を形成して傷を目立ちにくくし、メンテナンスを楽にしますが、100%傷を防ぐわけではありません。
定期的な洗車や油膜・イオンデポジットの除去といったメンテナンスを行い、効果を維持しましょう。
また、軽い傷にはクロスやシールタイプの傷消しアイテム、深い傷にはワックスやコンパウンドを使用するなど、傷の程度に応じた対策を取ることが大切です。
これらのケアを心がけることで、黒い車の美しさを長く楽しむことができます。