最近は、PHEVのような燃費が良い車を選ぶ人が増えています。
しかし、PHEVは外部から充電できることが大きな特徴である一方で「充電せずにガソリンだけで走行するとどうなるのか？」という疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
「充電できる環境がないけれど、PHEVは使えるのか？」「ガソリンだけで走ると、ハイブリッド車やガソリン車と比べてデメリットはあるのか？」といった点について気になっている方もいるでしょう。
本記事では、PHEVを充電せずに使った場合に起こる影響や、考えられるデメリットについて詳しく解説します。
PHEVの導入を検討している方や、すでに所有しているけれど充電が難しいという方にとって、役立つ情報をお届けしますので、ぜひ最後までご覧ください。
PHEVは充電しないでガソリンのみの走行は可能？
PHEV（プラグインハイブリッド車）は、電気とガソリンの両方を使って走る車です。
外部充電を行うことでEV（電気自動車）として走行できますが、充電しなくてもエンジンを使って走行することが可能です。
バッテリーが空になれば自動的にエンジンが作動し、ガソリンを燃料にして発電や駆動を行うため、ガソリン車のように走行することは可能です。
しかし、この使い方ではPHEVのメリットを十分に活かすことができません。
ガソリンのみで走行した場合の問題
PHEVの設計は、電気走行を前提としているため、ガソリン走行だけに頼ると燃費が悪化します。
一般的なハイブリッド車（HEV）は、エンジンとモーターを効率よく連携させて燃費を向上させていますが、PHEVは外部充電による電力を活用することで最大の効果を発揮します。
そのため、充電せずにガソリンのみで走行すると、重いバッテリーを積んでいるにもかかわらず、電力を有効活用できないため、結果として燃費が悪化しやすくなります。
また、ガソリン価格の変動に影響される点も無視できません。
電気料金と比較すると、一般的にガソリンの方がコストが高く、特に長距離を頻繁に走る場合は燃料代がかさむ可能性があります。
PHEVは本来、短距離を電気で走り、長距離ではエンジンを併用することで経済的に運用できるよう設計されているため、充電を怠るとそのバランスが崩れてしまうのです。
PHEVの基本的な仕組みと特徴
PHEVは、バッテリーとエンジンの両方を搭載し、状況に応じて使い分けることで燃費の向上や環境負荷の低減を実現しています。
主に電気のみで走行できるEVモード、エンジンと電気を組み合わせるハイブリッドモード、エンジンを主に使用してバッテリーを充電しながら走るチャージモードの3つの走行モードがあります。
EVモードでは、一定のバッテリー残量がある間はエンジンを使わずにモーターだけで静かに走行でき、ガソリンを消費しません。
一方、バッテリーの電力を使い切ると自動的にハイブリッドモードに切り替わり、エンジンが作動して発電や駆動を行います。
PHEVの最大の特徴は、外部から電源を供給してバッテリーを充電できる点にあります。
これにより、短距離移動ではガソリンを一切使わずに走行できるため、日常使いでは経済的に運用できるのが強みです。
ハイブリッド車（HEV）との違い
PHEVとHEV（ハイブリッド車）は、どちらもエンジンとモーターを組み合わせた車ですが、運用方法に大きな違いがあります。
HEVは外部充電ができず、走行中に発生するエネルギーを利用してバッテリーを充電する仕組みになっています。
そのため、エンジンの補助的な役割としてモーターを活用し、ガソリンの消費を抑えるのがHEVの特徴です。
一方、PHEVは大容量のバッテリーを搭載しており、外部充電をすることでEVのように電気だけで走ることができます。
特に短距離移動ではPHEVの方が燃費が良く、電気を利用することでガソリン代を抑えることが可能です。
ただし、充電設備がない場合や充電をしない状態で使用すると、PHEVの燃費はHEVよりも悪くなる可能性があります。
これは、PHEVが重いバッテリーを積んでいるため、ガソリンのみでの走行ではエネルギー効率が下がるためです。
PHEVの導入を検討する際は、充電環境が整っているかどうかも重要なポイントになります。
PHEVを充電せずに使うデメリット
PHEVは、電気とガソリンの両方を使って走行できるのが大きな魅力ですが、充電をしないまま使用すると、そのメリットを十分に活かせない場合があります。
上述の通り燃費の悪化以外でも、様々なデメリットがあるので、どのようなデメリットがあるのか知っておきましょう。
エンジンの使用頻度が増え静粛性が損なわれる
PHEVの大きな魅力のひとつが、電気走行時の静粛性です。
モーターのみで走行するEVモードでは、エンジン音がなく、街乗りではとても快適な乗り心地を実現できます。
しかし、充電をしない場合はEVモードを活用できず、常にエンジンが稼働することになります。
その結果、エンジン音や振動が発生し、特に低速走行時やストップ＆ゴーの多い都市部では、静粛性の低下が顕著に感じられます。
また、エンジンの作動頻度が増えることで、アイドリング時の音や振動も気になりやすくなります。
PHEVはもともとエンジンを補助的に使うことを想定しているため、エンジン単独での使用は快適性の面で不利になりやすいのです。
静かな走行を求めるなら、こまめに充電し、できるだけEVモードを活用することが重要です。
本来のメリットを活かせない
PHEVは、充電設備を活用することで、その性能を最大限に引き出せるよう設計されています。
充電した電力を利用すれば、ガソリンを使わずに走行できるため、燃料費の削減が可能です。
さらに、エネルギー効率の高い電気モーターを活用することで、環境負荷の低減にも貢献できます。
しかし、充電をしない状態では、これらのメリットを享受できません。
また、補助金や税制優遇の面でも影響が出ることがあります。
PHEVは環境に優しい車両として、政府や自治体からの補助金が受けられる場合がありますが、その前提として電力を活用することが求められるケースもあります。
充電をしないままPHEVを運用すると、こうした経済的なメリットを十分に活かせなくなる可能性があります。
バッテリーの劣化リスクに影響はある？
PHEVのバッテリーは、適切な充電と放電を繰り返すことで、長期間にわたって安定した性能を維持できるよう設計されています。
しかし、充電をほとんど行わず常にガソリンのみで走行していると、バッテリーが適切に活用されず、劣化が早まるリスクがあるという意見もあります。
バッテリーは、長期間にわたって極端に充電されない状態が続くと、蓄電能力が低下しやすくなります。
また、PHEVは走行時に回生ブレーキを活用してバッテリーに電力を蓄える機能がありますが、バッテリーが常に低い状態で運用されると、その効果も十分に発揮できません。
バッテリーの寿命を延ばすためにも、定期的に充電し、適切な管理を行うことが推奨されます。
ガソリン車との比較、どちらが経済的？
PHEVを充電せずに使う場合、果たしてガソリン車と比べてどちらが経済的なのでしょうか。
結論から言うと、走行スタイルや利用環境によって大きく異なります。
短距離を中心に走る場合、PHEVを充電せずに運用すると燃費が悪化し、ガソリン車と比べてもコストパフォーマンスが劣る可能性があります。
一方、高速道路を多く走る長距離ドライバーにとっては、PHEVのハイブリッドシステムがガソリン車よりも燃費を向上させる場合もあります。
また、購入時のコストも考慮する必要があります。
PHEVは、バッテリーやモーターを搭載しているため、一般的なガソリン車よりも車両価格が高くなる傾向にあります。
そのため、充電せずに使用するのであれば、初期費用の高さをカバーできるほどの燃費メリットが得られにくく、ガソリン車を選んだ方が合理的な場合もあるのです。
充電環境が整っているかどうか、自宅で充電できるのか、走行距離や利用シーンはどうかといった要素を考慮し、自分のライフスタイルに合った選択をすることが重要です。
PHEVの性能を最大限に活かすためには、やはり定期的な充電を行い、電気とガソリンをバランスよく活用することが鍵になります。
PHEVのデメリットを解消する方法
PHEVは、電気とガソリンを組み合わせることで環境負荷を抑えつつ経済的な走行が可能ですが、充電環境が整っていないとそのメリットを十分に活かせません。
充電をしないまま使うと燃費が悪化することがあるため、デメリットを解消する工夫が必要です。
自宅充電の導入コストと設置方法
PHEVの充電を効率的に行うためには、自宅に充電設備を整えるのが理想的です。
一般的に、自宅で充電するためには200Vのコンセントを設置する必要があります。
これは家庭用100Vのコンセントよりも充電速度が速く、PHEVのバッテリーを数時間でフル充電することが可能になります。
設置には電気工事が必要であり、費用は10万円前後が相場です。
配線の距離やブレーカーの増設の有無によって費用は変動するため、専門業者に相談することが重要です。
また、充電スタンドを設置する場合は20万円以上かかることもありますが、利便性が向上し、PHEVをより快適に利用できます。
自治体によっては充電設備の設置に補助金が出る場合もあるため、事前に確認するとコストを抑えられる可能性があります。
外出先での充電スポットを活用する
自宅に充電設備を設置できない場合でも、外出先の充電スポットを活用することでPHEVの燃費性能を向上させることができます。
近年、商業施設やホテル、道の駅などに充電設備が増えており、買い物や食事の間に充電を行うことで、日常的に電力走行を取り入れることが可能です。
高速道路のサービスエリアには急速充電器が設置されていることが多く、長距離移動時にも便利です。
急速充電を利用すれば、30分程度でバッテリーの約80％を充電できるため、休憩時間を活用して効率よく充電することができます。
ただし、PHEVの中には急速充電に対応していない車種もあるため、購入前に確認が必要です。
また、充電スポットの利用には専用のカードが必要な場合があるため、事前に登録しておくとスムーズに利用できます。
V2Hシステムを活用した賢い電力管理
V2H（Vehicle to Home）システムを導入すれば、PHEVのバッテリーを家庭の電力として活用することができます。
これは、車のバッテリーに蓄えた電力を家庭用の電気として使用できるシステムで、電力料金の節約や非常時の電源確保に役立ちます。
例えば、電気料金が安い夜間に充電し、昼間の電気代が高い時間帯にバッテリーの電力を家庭で使用すれば、電気代の削減が可能です。
また、停電時にはPHEVのバッテリーを活用して家の電気をまかなうことができるため、防災対策としても有効です。
V2Hシステムの導入には専用の機器が必要で、設置費用は数十万円かかることが多いですが、国や自治体の補助金を利用すればコストを抑えられる可能性があります。
充電なし運用でも燃費を向上させるコツ
充電なしでPHEVを運用する場合でも、燃費を改善する工夫をすれば、ガソリン車やハイブリッド車と同等、あるいはそれ以上の燃費性能を発揮することができます。
まず、アクセルの踏み方を工夫し、急加速を避けることが重要です。
PHEVは回生ブレーキを活用してバッテリーに電力を蓄えることができるため、できるだけ滑らかな運転を心がけると、エネルギー効率が向上します。
そして、エコモードを活用するのも有効な手段です。
PHEVには、エンジンの作動を抑えて燃費を向上させるエコモードが搭載されていることが多いため、これを使用することで燃料消費を抑えることができます。
また、エアコンの使用を控えめにすることで、エンジンの負担を減らし、燃費の向上につながります。
さらに、高速道路ではクルーズコントロールを使用すると、一定の速度を維持できるため、エンジンの負担が軽減され、燃費が向上する傾向があります。
長距離移動が多い場合は、こまめな休憩をとりながら運転し、無駄なエネルギー消費を抑えることも意識すると良いでしょう。
充電しないPHEVの活用シーンとユーザーの声
PHEVは、充電を活用することで燃費の向上やランニングコストの削減が可能ですが、すべてのユーザーが充電環境を整えられるわけではありません。
特に自宅に充電設備がない場合や、長距離移動が多い人にとっては、充電なしでの運用を前提にすることも考えられます。
実際にPHEVを充電せずに運用しているユーザーの声を交えながら、どのように活用されているのかを見ていきましょう。
充電設備がない家庭でのPHEVの使い方
都市部に住んでいる場合や集合住宅に住んでいる場合、駐車場に充電設備が設置できないケースが少なくありません。
そのため、PHEVを所有していても充電する環境がなく、結果としてガソリン車やハイブリッド車のように使わざるを得ない人もいます。
このような環境では、PHEVは通常のハイブリッド車として機能します。
バッテリー残量が減ればエンジンが始動し、走行中に回生ブレーキなどで発電しながらエネルギーを補うため、完全なガソリン車とは異なります。
ただし、PHEVはもともと電動走行をメインとする設計のため、ハイブリッド車に比べるとエンジンの燃費効率が最適化されておらず、ガソリンの消費量が多くなる傾向があります。
充電設備がない家庭でPHEVを運用する場合、外出先の充電スポットを活用するのが一つの方法です。
商業施設や高速道路のサービスエリアには普通充電や急速充電の設備が増えてきており、買い物や食事のついでに充電できる環境が整いつつあります。
短時間の充電でもある程度の電力を確保できるため、通勤や近距離移動を電気で賄うことも可能です。
長距離移動が多い人にとってのPHEVはどう？
PHEVは、短距離を電気で走行し、長距離ではエンジンを活用することで、経済的かつ環境に優しい運用ができるよう設計されています。
しかし、充電せずに長距離移動を行う場合、PHEVはハイブリッド車やガソリン車と比べてどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
長距離移動が多い場合、PHEVの電気走行モードはほとんど活用できず、エンジン走行がメインになります。
特に高速道路では、回生ブレーキによる電力回収が少なくなるため、ハイブリッド車よりも燃費が悪化するケースが見られます。
ただし、PHEVの多くはエンジンの発電能力が高く、バッテリーが完全に空になることはなく、一定のモーターアシストが行われるため、ガソリン車と比較すると燃費面では有利になります。
また、PHEVは車種によっては急速充電に対応しているため、長距離移動の途中で短時間充電を行うことで、再びEV走行を活用することも可能です。
たとえば、30分程度の休憩時間を使って急速充電を行えば、次の目的地までEV走行で移動できる場合もあります。
このように、充電なしの長距離運用でも、適切な工夫をすることで経済性を向上させることができます。
実際のユーザーはどう使っているのか？
充電環境がない、あるいは長距離走行が多いという理由で、PHEVをガソリン車のように使っているユーザーも少なくありません。
実際の口コミを見てみると、充電なしでも問題なく運用できるという意見と、やはり燃費が悪化するという意見の両方が見られます。
充電なしでPHEVを運用しているユーザーの中には、ハイブリッド車と同じ感覚で使用し、特に不便を感じていないという人もいます。
実際に、PHEVのシステムはハイブリッド車に近い部分もあるため、燃費を気にしなければ通常のガソリン車と同様に使うことができます。
しかし、ハイブリッド車よりも燃費が悪くなることが多いため、給油の頻度が増えたり、走行コストが高くなることをデメリットに感じる人もいます。
一方で、充電環境が整っていないながらも、外出先の充電スポットを積極的に利用しているユーザーもいます。
商業施設や宿泊施設に充電設備がある場合、それを利用することで電気走行の割合を増やし、経済的な運用を心がけているケースもあります。
特に、夜間電力を利用できる環境がある場合は、割安な電気料金で充電できるため、充電設備を持っていない家庭でも一定のコストメリットを享受できます。
こうした実際のユーザーの声を踏まえると、PHEVは充電なしでも使用できるものの、その場合は燃費の悪化やコスト増加といったデメリットを理解したうえで運用することが重要です。
また、充電環境が整っていなくても、外出先での充電を工夫することで、PHEV本来の性能を引き出すことが可能になります。
PHEV充電しないでガソリンのみまとめ
PHEVは充電しなくても、ガソリンのみで走行は可能です。
PHEVを最大限に活用するためには、できるだけ充電を行うことが理想的ですが、充電が難しい環境でも工夫次第でデメリットを解消できます。
自宅に充電設備を設置することで、充電の手間を減らしながらコストを抑えることが可能です。
充電設備が設置できない場合でも、外出先の充電スポットを活用すれば、経済的な運用ができます。
また、V2Hシステムを導入すれば、家庭の電力と連携して電気代の節約や防災対策にもつなげられます。
充電なしで運用する場合は、燃費を向上させるための運転技術を身につけることが重要です。
アクセルワークやエコモードの活用、高速道路での一定速度の維持など、工夫次第でPHEVの燃費性能を引き出すことができます。
PHEVの特性を理解し、自分のライフスタイルに合った運用方法を見つけることで、より快適で経済的なカーライフを実現できるでしょう。
